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日野菜の漬物 [植物 雑記]

ご承知のように滋賀県には日野菜という特産のカブがある。

普通の力ブと比べたら小さく細い株で地上に出る部分は紫紅色、地下部は白色である。

名前のように昔から蒲生郡日野町近辺で多く栽培された。

元は「緋の菜」「あかな」「えびな」とも言われ、日野町の鎌掛の爺父渓(薮阻)に自生していたと言う。


元日野の城主蒲生貞秀が、1474年(則3年)爺父渓の観音様に参詣したとき、

偶然に自生している日野菜を見つけ持ち帰って漬物にした。試食して美味なることがわかり、

京の公卿さんを経て、後柏原天皇に献上した。

天皇は喜ぼれて漬物に「桜漬」という名を賜った。ちなみに「桜漬」は根と葉を薄く切ってあくぬきして

塩漬けにし、梅酢などの調味料で味付けしたもので、香りと桜色の美しさと酸味があって美味である。


さて、これを機に近江一円で日野菜栽培が始まった。そして10年後に蒲生家が伊勢松阪の大名になって

伊勢で栽培されはじめ、更に会津へ転じて会津でも栽培された。


その後は九州・四国・信濃・越後にまで広く栽培きれた。これは1760年ころに日野町の種苗商の

源兵衛や配置売薬商人が、種子を各地に行商したり手土産に持参したことから始まったと言われている。


日野菜は太さ2~3センチ、長さ20センチくらいのものだが、太めのものと細長のものとあり、

色も赤みのかったものと、紫のかったものの二種類ある。

カブというよりミニ大根に似て長い。漬物にしたとき味はそんなに変わらないと思うが、

日野菜漬の愛好家運中は赤みがかったほうが良いという。


甲賀町でも農家のどこでも栽培していて、秋になると、軒先に収穫された日野菜が何本かづつ

縛って物干し竿に干してあり、秋の風物詩のひとつであった。

それも霜のおりるころには漬物につげられた。特別漬け方がむずかしいわげでもないが、

各家それぞれの漬け方があり、色にこだわる家、味にこだわる家とあって、家庭によっ微妙に

色と味が違っていた。


もっとも漬物の漬け万も塩漬け、糠漬け、桜漬けなどあるが、ポピュラーなのが糠漬げだし、

一番特色あるのは前述した桜漬げだろう。


糠漬けは普通の沢庵的な漬け万で、味本位の、お姑さんやお嫁さんの腕の見せどころの漬物、

桜漬けはあくねきした葉を刻み、根は輪切りにして混ぜ塩漬けして重しをかげるのだが、

色本位のうえ香りも味も良い。


私は日野菜漬は好物で良く食べる。田舎漬のヒネた半分酸っぱくなったようなものが好きなのだが、

スーパーで売っている袋詰めのものは、一夜漬みたいで生で辛くて堅くてうまくない。

それしかないからしかたなしに醤油をぶっかけて食べている。


京都や日野の老舗の漬物星さんのものが、専門店で売っているようだが、

ブランド品は商標代が上乗せされていて、贈答用にはともかく、毎日ガツガツ食べるには不適だから、

しょっちゅうは口にはできない。


年年末に柘植の知人から、手製のひなびたのを貰うのが楽しみで、着くと大切に少しづつ食べて

食べ延ばしを図るのだが、こういう物に限って、ふだんは見向きもしないで、沢庵ばかりボリボリ

食べているもう一人が私もと言って箸を出す。だからこちらの思惑と違って早く無くなる。

いまのところ防止策は思いつかない。


最近、甲南町で田舎漬を潰げて販売する店ができたと聞いた。一度つてを求めて手に入れ

味見しようと思っている。もしそれが良ければ何もかも解決できていいのだがと機会を待っている。


話のついでだが、滋賀県にもうひとつ小泉カブの漬物という特産品があるらしい。

この力ブは根がひょうたん形していて、ふつうの力ブラくらいの大きさになるようだ。

犬上郡の小泉で栽培されている。

小泉は彦根南西の元朝鮮人街道に治ったところにある。日野菜同様漬物専用の力ブで、

漬け万は「切りごろ」という根も葉も一緒に切り込み浅漬げにしたもので、たいへん美味だと言う。

ほかに普通の糠漬げもあるようだ。でもこれは、農家自家用に漬げられるもので

市販されていないらしいが、うまいものなら誰かが商品化するわけだから、ほんとうの味は

どんなものだろうか。食べてからのお楽しみということ。


余談だが、飛騨南山の品漬とか赤カブ漬の材料は、京都の聖護院カブくらいの大きさの表皮が

紅色で中の白い赤カブである。

ともかく、カブは品種が多く栽培が容易だから、各地で栽培され、それぞれの土地の特産品として

一役かっている。、




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