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崇高と清純を感じさせる梅(ウメ) [植物 雑記]

立春ごろになると、春を待ちかねてか、九州から順次ウメの開花が伝えられ、

急に心が春めいてくる。

と言っても思いだけで、湖国ではこの頃が一番寒く雪も多い。


湖北の木之本町や余呉町では、1㍍を越す根雪が春まで居座る最も厳しいときなのだ。

今はともかく、昔は長い冬はただ寒いと言うだけでなく、雪国では交通を途絶させ、

生活困窮を加速させるだけのものでしかなかった。


雪国の俳人一茶は雪をおぞましいと言い白魔だとののしった。

こんな中で蕾を日ごとに膨らませていくのがウメである。


ウメはもともと中国から渡来したものだが、原産地が中国の四川省および河北省の山岳地帯と

言う説もあるが、栽培の歴史が古く、実際の原産地はよくわかっていない。

中国ではウメの花は国花であり、全国各地で栽培されている。


また、台湾にも野生種があり、日本でも大分県と宮崎県に野生があるというが、

一般にはそれらは野生化したものとされている。

日本で現在栽培されているウメが、中国から渡来した系統であることは明らかと言うのが定説。


ウメはアンズとともにサクラ属のウメ亜属に分類される。ウメとアンズの中間的性質をもち、

自然雑種だろうと推定されるウメの品種(豊後)もある。他に多くの品種があり日本でも、

江戸時代から明治にかけて数多くの品種が作り出きれ、

明治末期には323品種あると「梅花葉」に記載されている。


ウメを花の色によって「白梅」と「紅梅」に分けたり実をとるものを「実梅」、

花の観賞用を「花梅」と分げたりするが、園芸ではさらに細かくその性質によって分類している。


ウメの花と言えば、まず思い起こすのは萱原道真、すなわち菅公、天神様である。

日本全国のウメの名所のほとんどに菅公ゆかりの縁起が伝わっている。


福岡県の太宰府天満宮には「東風吹かば匂いおこせよ梅の花、主なしとて春な忘れぞ」

と菅公が詠んだことで有名だが、このウメは、白梅?、紅梅?、

ここのほか若名な京都北野天神、東京湯島天神のいずれも、

菅公にちなんだいわれを伝えている。


ウメは日本にはもともと野生のものは無く、植えられたもので、

日本と唐との交通が盛んになったころに、中国から渡来し、

わずかの間に各地に分布して、花が賞美されるようになり、

天平時代には花と言えばウメを指した。単に観賞用だっただげではなく、

ウメには呪力があるとして、たとえばウメの花を挿頭や茸にもしたのは呪力を認めてのことと言う。


飛躍した話だが、平家の公達たちが戦場に赴く際に、筋にウメの花を挿して出陣したというのは、

単に優雅さというより己を守るおまじないだったかもしれない。


モノの本によれば「ウメを屋敷内の鬼門の方に植えれば災難険げになる、

ウメの花がよく咲きほころぶ年はイネが豊作になる、朝梅干を食べると一日中災難逃れになるなど、

ウメの木から花、果実にいたるまで、防災の呪性があると信じられていた」とある。


そう言えば、握り飯に梅干を入れるのも、

副食物と言うだけではなく防災の心が強かったのではなかろうか。

現代も山林従事者に梅干し入りの弁当持参者が多いのは、その心をひきついでいるのだと思う。


さて、ウメの花の名所として、関東では水戸偕楽園の梅林、熱海の梅林など

耳にするが私はどちらも知らない。関西では奈良月ケ瀬、和歌山南部梅林、大阪城などで、

月ケ瀬、大阪城はシーズンにウメ見に出掛けたことがある。

和歌山はどこへ行ってもウメ!ウメ!ウメで、ウメの無い山を探す方が苦労するくらいだ。


近江長浜には盆梅が、この時季、慶雲閣に展示されて毎年好事家の関心を集めている。


わが家には紅梅2株と白梅1株がある。若木だから古木の枯れた尊厳美は望めないが、

荒庭だからこそ目立つのか、開花して頽郁とはいかぬものの、

かすかな薫りが感じられる。夏には20個ほどの実が採れ一杯の梅酒が楽しめる。


話変わって、わが家の家紋は梅鉢紋である。

梅鉢紋はいくつか種類があるが、

わが家のは加賀梅鉢と言う加賀百万石の殿様前田家の家紋と同じ紋。


梅鉢紋は奈良時代に出現 し、天神社の神紋として親しまれていて、

菅家の子孫と称する案々がその家紋とするようになったらしい。

前田氏は元は尾張の出身で、この地方は天神様信仰が盛んだから菅家の子孫を唱えたと言われる。


美濃の領主だった斎藤道三も同じように梅鉢を家紋にした。

わが家の梅鉢紋の由来は、亡父から聞いたことが無いので、

どんな経緯でそうなったかは知らないが、継承したものはそれに従い、

〇〇にも継承してもらわねばならない。


急速に伝統文化が次々と消滅していくなかで、どこまで家紋が生き残れるか知れないが、

なんとか残って欲しいと願う。


クイズ模様に書いた菅原道真の汗口歌のウメは「紅梅」が正解です。

太宰府天満宮まで飛んだと言われる「飛梅」も紅梅だったのですが、

現在あるものはは「白梅」です。「白梅」の方が民衆には親しまれていて、

植え替えられたと言われています。


なにはともあれウメは崇高と清純を感じさせる。





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へんび

ありがとうございます。
by へんび (2015-12-28 20:55) 

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