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里芋に対しての山芋 [植物 雑記]

ヤマイモ(山芋)とはサトイモ(里芋)に対してのことで、

日本の山野に自生するイモ、ジネンジョウ(ヤマノイモともいう)と、

畑に栽培されるナガイモとがある。


共にナガ イモ科のつる植物で同属には世界で約 600種もある。

日本のものはその中で最北限に生える種類である。

雌雄異種だが、雌雄の区別なく地下にイモができる。


イモは春になると地表に近いところから芽を出し、

約2か月で地上部を茂らせ7月ごろから地下に新しいイモを形成して、

光合成した物質を貯えはじめる。

掘り損じて地下深くで、折り残されたジネンジョウも、

そこから芽を出し数十㌢の地底からでも出芽する。


畑に栽培するナガイモは、イモを15センチほどに切って植え付げる。

切られた種芋には全く芽が無いのだが、

やがてかならず原形の基部よりの端に身のもとが分化して萌芽してくる。

これは他のイモ類ではできない芸当で、

ヤマイモがいかに強い精力をもっているかを示すものと言えよう。


ヤマイモの根は食用にする。

特にとろろ、汁にして温かい飯にかげて食べるのが最高で

ソバにかけたやまかげもうまい。

成分は澱粉が主で、これにどろどろした粘質物が美味を高めて味覚をそそる。

この粘質物はジネンジョウがナガイモより4倍も多い。


ヤマイモが精のつく食物とされる由縁はこの粘質物にあるらしいが、

明確なことは解っていないらしい。イモにはまたジアスターゼなど酵素が多く含まれ、

とろろ汁が腹にもたれず消化がよい理由はここにある。


さて、わが家にもジネンジョウが自生している。と言ったら驚くかも知れないが事実である。

元は食べ残したものを植えたものだが、毎年かならず春になると芽吹いてくる。

そして、つるがあたりの庭木、植木鉢の植物はもちろん、

地を這うなどして四万八万に広がる。

秋には茎の葉のつけねに豆粒ほどのムカゴが数多くでき、

種子繁殖のほかにムカゴがこぼれ落ちて盛んに殖える。

倍々ゲーム程ではないが1年ごとに殖えに殖えて思わぬ場所に突然生えている。


これがもう30年以上続いているから、古い蔓は地下にかなり大きなイモを形成していることは確かで、

栄養源として貢献してくれても良いのだが、残念ながらとろろに姿を変えてくれたのは、

20年以上も前にただ一度あっただげである。

その一度とは、苗木のおばぁちやん(〇〇の母)がお元気だったころ、

私宅に滞在されていたときに地下から掘り出して食べさせて貰った。


なんとしても古い話しではある。


その後も毎年顔を出してくるのに、掘ったためしがない。それには理由が二つある。

ひとつは掘る気がないことである。とにかく深く掘らねばお目にかかれないから簡単ではない。

生はんちゃくれではできないため労を惜しんで敬遠する。


もうひとつは、庭木は油日農場産が多く、移植の際に土に付看してきたつる性植物の根が、

イモと同じように繁殖して絡み会っている。恥ずかしながらジネンジョウとの判別ができず、

これを大義名分にして怠げていること。この二つである。


かって農場では蔓性植物の医薬有用成分研究を目的に、

国内各地から蔓性植物を収集して試験栽培したことがある。

そのときに使用した検体のイモが散逸して広がった。なかには食用に不適なものもあり、

見ただげでは素人ではとても判定できかねる。このおこぼれがわが庭にきているわげなのである。


一般的には、地下に形成するイモでは、食用に安全な物は地上のつるが石巻きに成長し、

食用に不適なものは左巻きに成長する。

これは油日時代に聞いて知っているから、つるを確かめて掘ればよいと言われればそうだが、

例外があるから一応の目安とはなっても絶対確実とは言えず、

まかり間違って命にかかわることにでもなれば危険極まりない。


ジネンジョウのイモを正確に知っておれば良いのだが、

二人とも絶対これと太鼓判を押すだげの自信がない。だから毎年イモが殖える。


夏に除草するときに惜し気もなく蔓を切っても、ちゃんと萌芽して

次の除草時にはたくましく伸びている。今に庭全面にヤマイイモが繁茂して、

雑草を駆逐してくれるかも知れないなどと、のんきなことを言って、

何にもせずにただ手をこまねいている 。


二人を、ヤマイモさんはどんな顔をして眺めているのやら。



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