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初夏の花、水芭蕉とカタクリ [植物 雑記]

水芭蕉と言えば、おおかたの人はいの一番に日光の尾瀬湿原を思い起こすであろう。

もっとも関西人は大山のほうがなじみ深いかも知れない。

なんて知ったよ うなことを言っていても、私はそのどちらへも行ったことも無く、

ただ知識とし て知っているだけだから大きなことは言えない。


書物によると、自生地は主に兵庫県から北の日本海側高地、北海道に至る湿原で、

初夏に花を付け、里芋と同じ仲間の植物とある。

この仲間には他にざぜん草な どがあり、どれも根に特有の異臭がある。

関西では大山のほか神鍋富原辺り が多いらしい。

六甲の高山植物園には多く栽培されていて、入園者の目を楽しませてくれている。


この水芭蕉がわが家の庭にあると言ったら、エッホントウ?ウツソウ!信じられない!まさか?と、

矯声でキテレツ語を次々と発して、私を疑いの眼で凝祝するだろう。

だが、これは事実なんだから信じてもらいたい。と言ったって

簡単に は信じられませんと返事が返ってくるだろうから、

わが家の水芭蕉の故事来歴を披露しておこう。


わが家の株はI0数年前、北アルプス焼岳の西山麓、上宝村に住む知人の

高山植物愛好家を訪ねたときに、他の植物と共にI株譲り受げて来たもので、

矢口人の話では関西の平地ではうまくいってせいぜい茎が出るまで、

下手すれば芽が出てわずか伸びたところで枯れる。

条件を整えてやれば1~2年はもつだろうが,開花は 絶対無理との話だった。

なお,この株は信州の戸隠湿原産とのことであった。


持ち帰ってから、庭の端っこに畳み半分くらいの広さで、深さ50センチほどの穴を掘り、

その底にビニール布を敷いて水が溜まるようにし、上に砂、土、水苔 を重ねて球根を植えた。

使用したビニール布は古いものだから水漏れを完全に防げず、

少量づつ漏れていたのが結果良しとなったのか,いいかげんなこんな環境がお気に召して、

年年、早春の頃になると極まって芽をもたげてくる。

そして、初夏の頃にいつのまにか姿を消していく。これを毎年繰り返している。

もちろん花は付けないし茎も大きくは成長しない。


こうして毎年顔を見せてくれるわが家の水芭蕉は、私たちに春近しを伝えてくれ、

屋内にひっそくしている2人に庭へ出るきっかけをつけてくれている。

今年も同じように首を持ち上げ春の庭手入れを督促している。



自然界の水芭蕉は、今頃から萌芽して初夏に開花した後、葉を出して成長するが、

平地の温暖な地では植物の季節感が狂って、

萌芽と同時に茎・葉が揃って出て開花する余裕がなくなり、

結局、未開花の生理状態のまま終ってしまう。


はかないと言えばはかない。何夏まで太陽の恵みを享愛して、

来年へのエネルギーを精一杯蓄えているわが家の水芭蕉よ氷遠なれ、と祈る気待ちになる。


さてもう一つのカタクリは、私の山野車作りでは古い部類に入るものの一つである。

JR関西線柘植駅と次の加太駅の間に長いトンネルがあり、

山の南側斜面にカタクリの自生地がある。そこで採取した球根を鉢に植えたのが、

今もいくつか残っていて毎年花を咲かせている。

今ころ地上に顔を出しお花見のころに開花するユリ科の小さな植物で、

花は細く反り返ったように咲き内側に紫色の模様がある。

花の咲いた後は早く地上部が枯れて姿を消す。


私は花後に肥料を与えて肥培し、葉の落ちた後に深い植木鉢に球根を埋め直している。

これでなんとか持ちこたえている。露地栽培は害虫の食害を受げてむずかしい。


カタクリの鱗茎から正真正銘のカタクリ粉がとれるのだが、

鱗茎は小きくて小指ほどの大きさしかないし、地下深いからとても食用に供することなどできない。

市販のカタクリ粉は馬鈴薯の澱粉で製造している。


早春の花には他にイチリンソウ、ニリンソウなどかわいいものが多く、

どの花も群落を作って咲き競っている。

山地の日当たりの良い閣葉樹林の中にその姿を 見ると、心が和んでくる。

でも、ここ10年ほどその機会に恵まれていない。

今後もとうてい恵まれそうにないのは寂しいが、

それにはかなりの南地まで行かねばならないから、致し方ないと諦めている。



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