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タンポポ( 蒲公英)、外来のセイヨウタンポポが占領 [植物 雑記]

春の野草と言えば代表的なのはタンポポ(蒲公英)だろう。

どこの空地にも道端にも春になると身近に眼に入るから馴染みは深い。とは言っても

最近では日本吉来のもの より、外国から入って釆たセイヨウタンポポのほうが

圧倒的に多いから、セイヨウタンポポを日本吉来のタンポポと思っている人もいるに違いない。


日本のタンポポの花は1種類だげではなく20種以上ある。

このうち京都で見られるのは4種類、滋賀県では7種類見られる。

カントウタンポポ・カンサイタンポポ・トウヵイタンポポ・ミヤマタンポポ・シロバナタンポポなどがある。


タンポポに似て小型の花をつげるのがタビラコで、キクタビラコとかミヤマタビラコは、

山野草愛好家は鉢植えして楽しむ。雑草では春の七草ホトケノザもタンポポの仲間である。

タンポポの生える場所は、いつも日が当り、草引きなど手入れされている所で、

たとえば農道や田の周辺など、人里で大きな変化が起こらない場所である。


春早く開花するから、熱帯や亜熱帯の植物と見られそうだが、

実は温帯と寒帯が本拠で熱帯には少ない。台湾ではタンポポは見られない。


九州の人はタンポポの花と言うと白花を思い出すそうだが、

我々関西人や関東に住む者は黄色の花を連想する。

これは分布している種が違うからである。モノの本によると、

タンポポの名の由来は花の形が鼓に似ているので鼓車と呼び、

その音の連想から生まれたと言う。平安時代にはタナ(田菜)やフチナ(田の縁の菜)と言ったとある。


さて、都市近郊で日本産のタンポポを見かげることが少なくなり、

日本種より一回り大きく葉も柔らかそうな、セイヨウタンポポが急速に広がって来ている。

最近見かけるのは、ほとんどセイヨウタンボボと言ってよいくらいである。

日本では北海道に非常に多い。明治初年、札幌農学校(現北大農学部)の教師ブルックスが、

野菜用に北米から種子を輸入して栽培したものが野生化したとか、

同じ北海道の放牧地に、牧草の種子といっしょに入ってきたものが広がったなどとも言われている。


セイヨウタンボボが日本種を凌駕している最大の理由は、増殖の仕方の違いで、

日本種は昆虫が他の株の花粉を運んでくれないと結実しないが、

セイョウタンポポは単為生殖し受粉しないで結実する。

この生殖能力の違いである。単為生殖するから1本でも生えれば多数の種子ができる。

また、年中開花し、春しか開花しない日本種より繁殖旺盛で病虫害にも強く世界を占領した。

元はヨーロッパ原産で、ヨーロッパ人の世界進出とともに世界中に広がった。


セイョウタンポポは、日本タンポポより乾燥地や養分の少ない場所でも成長できるため、

最近工事が行われ裸地になった場所、たとえば新興住宅地や道路沿いなどに多い。

日本タンポポとは生育場所が異なるため、

セイヨウタンポポが、日本タンポポの領分に侵入して押しのげて居座ることはない。

なお、日本タンポポとの区別は頭状花の総荷が下向きに反り返っているから判別できる。


タンポポはキク科タンポポ属の植物だが、キク科の植物は世界で2百種ある。

帰化植物はキク科が最も多く115種もある。

悪名高いセイタカアワダチソウ、ブタクサや、先月紹介したサントニンのミブョモギ・クラムョモギや、

蚊取り線香のんシヨケギク (除虫菊)など、食用ではレタス・シュンギク・ヒマワリなどがある。


タンポポの花言葉は「解きがたい謎」「機会を失った」「軽薄」で、

薬用としては、古代から健胃、催乳の薬として用いられている。


俳句いくつか紹介しておく。

春老いてタンポポの花咲けば散る 子規

蒲公英や炊き濯ぎも湖水まで 蛇笏

坂来れば辻に蒲公英垣に梅 秋桜子

精分英や日はいつまでも大空に 汀女

蒲公英につながぬ馬の手綱かな 虎子


タンポポの花は、早春の氷温むころから初夏のころまで楽しませてくれます。

本物を楽しむには、ビル街や住宅街では無理で、郊外へ出掛げるしかないようです。




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